幸運の青い鍵十字

調べたことを遺したい

幸運の青い鍵十字

幸運の青い鍵十字

 

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https://fi.wikipedia.org/wiki/Hakaristi

 幸運の青い鍵十字、ハカリスティ(Hakaristi)。それはスウェーデンのローゼン伯爵家における幸運の印であり、1944年まで使用されたフィンランド空軍の国籍マークである。

 

 

 1917年、帝政ロシアの崩壊に伴う地方小国家独立運動は、フィンランドにも広がりを見せていた。

 フィンランドにおける独立運動はやがて、赤色革命を目指す赤衛軍とそれに対抗する白衛軍との内戦に発展した。この内戦には、フィンランド人だけでなく、数多くの義勇兵も参加していた。その中の一人が、隣国スウェーデンの伯爵、エリック・フォン・ローゼンである。伯爵は義勇兵として白衛軍に参加すると同時に、当時最新鋭の兵器であった飛行機を2機、白衛軍へと提供した。この白衛軍最初の飛行機となる2機のツーリンD型複座偵察機は、幸運を願い、機体に青い鍵十字を描いていた。この青い鍵十字こそが、ローゼン伯爵家の幸運のシンボルであり、その後フィンランド空軍のマークとなるものである。

 ローゼン伯爵の持ち込んだ最初の2機を皮切りに、白衛軍は所有機を徐々に増加させていった。そして、それらの機体も最初の2機にあやかって幸運を願い、同様のマークを身に着け出撃していった。

 

 1918年5月、内戦は白衛軍の勝利で幕を閉じた。赤衛軍は国内から一掃され、1920年にはソビエト連邦と平和条約を締結し、晴れてフィンランドは独立国家の道を歩み始める。そして、ローゼン家の幸運のシンボルであった青い鍵十字は正式にフィンランド空軍のマークとして採用され、1944年に連合国に敗れるまで、北欧の空を飛び続けたのである。

 

 

 

参考文献:中山雅洋 (2007)「北欧空戦史」 学習研究社

※学研M文庫版は絶版、ホビージャパン様より単行本が復刊中